台湾を囲い込む中国
中国が覇権を獲得するのに焦っているようだ。香港問題もそうだが、なかなかかみ合わない台湾を囲い込みしようとやっきになってるように見える。世界は刻々と動いている。中国が自国の成長鈍化を周辺地域と一帯一路に求めていることは明らかだ。
では、その先に何があるか?というと世界はもう行き場を失っている。
アメリカもせいぜい2%成長、ユーロ圏はゼロ、日本はマイナスだ。
世界は大航海時代から新しい土地や空間を求めてきた。植民地政策や戦争による強行手段を控え、ネットによる新たな空間を商機としてきた。それももはや駆逐され食べつくしたエコノミックアニマルは、これからどこへ行こうとするのだろう。
これだけ成長が下り坂なのに、世界人口は増え続ける。まるでウィルスのようにうようよ人は増え、との多くが飢餓にあえいでいる。
どうなんちゃうんだろう?世界は?
春秋 2019/9/18付
太平洋戦争の転換点のひとつは「ガ島」の戦いである。ソロモン諸島で最大の島、ガダルカナル島のことだ。1942年、日本軍は赤道の南のこの地域まで占領に及んだが、やがて米軍との悲惨な戦闘を強いられる。たくさんの餓死者を出した島は「餓島」と呼ばれた。
▼ずいぶん遠いところまで進攻線を広げておきながら、作戦は行き当たりばったり、補給は極めて不十分。将兵はその犠牲になったわけだ。しかし戦いの舞台にされたソロモン諸島は、もともと豊かな、おおらかな島々だった。78年に英国から独立し、大小1000もの島や環礁から成る新興国として国づくりを進めている。
▼戦後70年余、そのガダルカナル島への中国資本の進出が著しいという。中国は太平洋の島嶼(とうしょ)国に、さまざまな援助を持ちかけて進出を図っている。台湾との外交関係を維持してきたソロモン諸島だが、こうした攻勢のなかでとうとう中国との国交樹立を決めた。台湾を国際的に孤立させる戦略がまた一歩進んだことになる。
▼かつての日本は、第1次世界大戦でドイツからサイパンやパラオを手に入れ、南進路線を強めていった。「ガ島」の悲劇もその果てにあっただろう。そういう歴史に翻弄された太平洋の島々に、いま色濃くさす中国の影である。シーレーン確保の狙いも透けて見え、米国も警戒心を強めている。時代を隔てて、波音は高い。
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