マルクスの亡霊


なかなか刺激的な記事だった。編集委員 中沢克二 氏の記事はうならせdる。

香港のデモ(ランチタイムデモ)は日本の60年代の学生運動とは似て非なるものだという。

これまでの階級闘争はマルクスが想定した枠に収まる範囲だが、香港デモは中産階級を巻き込んでいるという意味で想定外だ。(必ずしも階級闘争ではないのではないか?)リーダーが不在というデモについても、IS国の在り方やAIの存在をほのめかす。作られた革命というイメージだ。

中国本土でマルクス主義の研究が広がる中、この香港デモは対立軸にある。中国はこれが本土に広がる懸念を払しょくしようとやっきになっているのである。

個人的には、いずれ世界はマルクスへ回帰すると思っている。それがいつになるかはわからない。

過当競争の果てに企業が統合されて競争相手がいなくなれば国有企業と同じだ。当然に政治の支配下の置かれるであろうその大企業は、かつての国鉄や電電公社と同じだ。社会主義経済はすぐそこにあって、これに環境破壊が加われば統制経済、すなわち共産主義が台頭してもなんの不思議もない。

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以下、記事の抜粋です。


習近平氏が蘇らせたマルクスも驚く香港「時代革命」
編集委員 中沢克二 氏 2019/12/03

「香港の抗争は無産階級による革命、階級闘争を唱えたマルクスが想定していない運動だ。中産階級を含む香港住民が共同体意識に目覚めた」。香港中文大学の政治・行政学部副教授、周保松はマルクス主義理論で説明できない新たな請願の闘争モデルが確立されつつあると分析する。しかも香港の運動には明確なリーダーが存在しない。それぞれが自分の信条に従って行動しているにすぎない。

かたや中国大陸では今まさにカール・マルクス(1818~83年)が蘇(よみがえ)りを果たしている。各地の有力大学内に「マルクス主義学院」が続々と誕生しているのだ。

11月半ば、共産党の理論誌「求是」は習近平がマルクス生誕200年の昨年、「マルクス主義理論の学習は共産党員の必修科目だ」と指示した重要講話をあえて再掲した。10月末の共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で習近平が訴えたのは「制度の自信」。それは「社会主義基本経済制度」だ。社会主義市場経済を含む概念と説明されたが、どう見ても重点は前段の「社会主義」にある。国有企業重視の流れは鮮明だ。11月末の共産党中央政治局会議でも国有企業の党組織と思想教育を強化する条例案が審議された。

おそらく多くの共産党員は時代にそぐわないと感じているはずだ。しかし、全面的な党による統治強化を決めた以上、立党の原点であるマルクス主義という古証文を引き出しの奥から持ち出すしかない理屈もわかっている。まさにジレンマである。

マルクス主義理論では説明できない「脱マルクス」の闘争という雰囲気を醸し出す香港政治運動と、中国大陸の時ならぬマルクス回帰。全く逆の流れがぶつかるのは必然だった。これが香港での衝突の本質だ。香港政府は2つの大波がぶつかるしぶきを浴びて立ち往生している。


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