現代の政治経済学 鍋島直樹著 ナカニシヤ出版



おはよございます。
ドイツHandelsblatt紙にマイケル・サンデルのインタビューがあって貧富の差が大きくなるようなことが書いてある。
投資家のジム・ロジャーズは2021年から数年、日本もアメリカも景気後退が続くと予想する。そりゃそうだ。借金国がさらに借金するはめになったわけだから、まぁ泣きっ面に蜂だ。ジム・ロジャーズは”農業がいいよ”と言っている。


現代の政治経済学。名古屋大学の鍋島直樹教授の著書。教科書だ。

半ば学生気分で最初から読み通す。

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我々が受験する頃は、行く先の学校によりマルクス経済と近代経済に別れていたが、まずこの学術仕分けがまるで違う。もはや「新古典派経済学」は単独でマネタリストが存在し、この本によるとマルクスとケインズ派経済学はほぼ同意で仕切られている。
さらに、我々が学んだ頃はマネタリスト本流でほとんど度外視されていたポスト・ケインジアンがこの本では復権していて、大きく扱われている。忘れ去られた記憶を呼び起こすには十分な著書だ。

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マルクスの”労働価値説”やケインズとカレツキの”有効需要の原理”など、それぞれの違いと共通する部分を説明し、どちらかというと労働の側面から経済を歴史的に示している。所得分配の変遷などは、実態をよくしめしておりわかりやすかった。
特に”社会的蓄積構造”について「戦後SSA]というシステムで、パックスアメリカーナから資本と労働がフォーディズム(フォード自動車の大量生産)を経て、資本と市民が合意してゆくあたりの一節はわかりやすい。これは古くは大航海時代の植民地政策ともパラレルとなっている。敗戦国に進駐して生産を移動させているうちに、いつの間にかアメリカが相対的に世界的な立場を低下させてゆく。まるでかつて日本が中国に円借款などで貸し付けたり寄付したものが、いつの間にか日本の地位を低下させているのと同じ。大英帝国もまた然りだ。
これは大いなる景気循環ともいえるし、ことによるとコロナによる大恐慌が起きている今のことをも暗示しているように読める。
マルクスやカレツキのいう自由競争から独占資本、国家資本へとイデオロギーとして変化してゆくのではなく、ポスト・ケインジアンのいう有効需要政策を生かすのがよさそうだ。デフレ政策で、非正規雇用を増やし実質賃金を低下させた日本の政策の失敗も教科書通りだ。デフレ時はむしろ賃金を上昇させ、消費を増やす方向へシフトさせるべきなのだ。賃金上昇で企業が失う利潤を国が”減税”という形で補えば、消費から投資が増えデフレを止める機会となるはずだ。日本の財政政策は間違いだ。さらに金融政策についてももう手の施しようがない状態だ。
その他・・

マカオのカジノ王が亡くなった傍らで賭けマージャンの違法性が議論されている。

昨日もヒマだったなぁ。
ダーリンは急遽送別会。龍美さんで盛り上がり、今日は朝からダウン。(おやすみ~)

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