団塊の秋 堺屋太一
昨日は強風と突然の雨で、浦和までいって無駄足だった。
いよいよ梅雨入り。北海道は梅雨がないし、沖縄は早くも梅雨明けらしい。
昨日見た映画もそうだが、世界は偏見と分断に満ちているように思える。歴史は繰り返す。
人は玄い(くろい)冬にはじまり青い春と朱い(あかい)夏を経て白い秋に至る暗い冬で終わるのではない
で始まる団塊世代の7人物語。たまたま海外旅行で偶然出会った7人の現在(2015年)から近未来(2028年)を囲いそれぞれの人生が描かれている。
堺屋太一さんは官僚出身の小説家で閣僚経験まである偉人だ。日経新聞の経済教室(2011/3/22)”非常時に強力な時限組織必要”は、堺屋さんの団塊三部作『団塊の後』で展開される。
戦後日本を支えた有能な人物たち(弁護士、官僚、銀行、新聞など)が時々集いそれぞれの近況報告が行われ、その話の内容に時代性が謄写されるという仕組みで物語は展開する。すごく面白い!
7人の中で唯一の女性が教師。夫も公務員で自己資金と借入で将来の子供たちのためと1億円もする家を建てるが、思うように子供は帰ってこない。広い家に夫婦二人は取り残される。
対して上越の建設会社社長はバブル崩壊などで会社が倒産しても、家族が代々集っている。家族の絆はお金(あるいは家の大きさ)ではないのである。
ではなぜか?なぜ家族が孫子の代まで寄り付く家とそうでない家があるのか。
ノウハウである。
ノウハウ、それはつまり2代目3代目 が受け継ぐ親からの仕事。医者だったり代議士だったり。目的を同じくする家族は同じノウハウを共有するために、できるだけ親や祖先の近い場所に住まうが、親と全く違う職業であれば、なにも親の近くに住む必然がないのである。かくして核家族化は経済活動を大きく増長し経済成長に寄与したが、家族間のバランスは崩壊させてしまったのだ。
高齢者の未来を占う意味では、先ごろ読んだ太田敏明著『姥捨て山繁盛記』にも通ずる部分もある名著である。
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