はちどり
『セデック・バレ』を見に、ここユーロスペースへきて以来7年ぶりということになる。いや、きっとほかの映画も見に来ているはずだ。それにしても懐かしい。
『はちどり』1994年頃のソウル。この年何が起きたのか?ということを示しつつ、絶対的な家父長制の中で虐げられた少女、それはまるで黒澤明監督の『赤ひげ』がモデルにしたドストエフスキーの『虐げられた人々』をも連想させるような愛らしい少女の物語だった。この少女ウニを演じた汚れなき少女パク・ジフの健気さがとにかく素晴らしい。女性監督らしい配慮(気遣い)が伝わる静かな映画。河瀨直美監督の初期作品にもどこか類似するような雰囲気と、是枝裕和監督のドキュメンタリータッチを思わせる表現。しかしキム・ボラ監督の独自性は、ウニが通う漢文塾のヨンジ先生(澤穂希さんにクリソツ!)に示されていたと思う。
ひとりずつ席を空けた劇場がほぼ満席だったのもうれしい。客席の息遣いと、多くの世代がこの映画に興味を抱いていることが伝わった。とても気持ちの良い時間だった。
(=^・^=)
★
★
この記事へのコメント