寅さん記念館、山田洋次ミュージアム、山本亭
オーストリアにも寅さん公園があるそうですね。『寅次郎心の旅路』
かつて来たこの記念館は、どうやらずいぶんリニューアルされていて、特にデジタル化された部分に目を奪われる。展示だけで示していた古いものも、例えばジオラマなどはそのまま残しつつ、部分的に映像を多く取り入れている。
「言葉は心」
こんな張り紙が果たして”とらや”にあったのか?と薄れた記憶をたどたどしくたどれば、たしかに映像にはこれが残されている。この言葉のメッセージは寅次郎そのものだ。寅次郎の正確をよく示している。いや、寅次郎の親父さんの性格なのかもしれない。これは天台宗の教えにあるものらしい。
寅次郎をめぐるマドンナや名場面などがところどころで鑑賞できる。旅先の風景や列車の数々。寅次郎の背中の向こうに大勢の人と風景が折り重なり、そこには(ありふれた言葉だが)人情が残されている。
寅次郎記念館の出口はプロジェクションマッピングで工夫が施され、狭い空間を大きく見せている。
出口から中庭をまたぐと「山田洋次ミュージアム」が待っている。
山田洋次監督作品の名場面集や予告編を見ることができる”柴又シネマ”というコーナーがあって、わずかな時間だが見るものに感動の波が押し寄せる。山田監督の初期作品はハナ肇さんが多く主演されていたようだ。そして何と言っても倍賞千恵子さんは山田作品に欠かせない存在。当時何気なく見過ごしていた名シーンを一気に見ると、そこにはまた別の覚えがある。例えば『おとうと』。吉永小百合さん主演。笑福亭鶴瓶さんの好演が光る。病で死期が近づく弟と紐で指をつなぐシーンは市川崑監督の『おとうと』と重なり、鶴瓶さんの死に際のシーンはまるで黒澤明監督の『赤ひげ』で藤原釜足さんが死んでゆくシーンを思わせる。
黒澤組で活躍された橋本忍さんとの会話がこのミュージアムに象徴的に飾られているのもまた印象的だ。脚本とは忍耐だけが頼りの仕事だと。
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