オラファー・エリアソン展”ときに川は橋となる”
とにもかくにも感動。アートの価値をこれほどまでの感じさせてくれたのは久しぶりだ。ちなみにエリアソンの作品は金沢にもあった。
彼の主題は光と鏡などが中心であったようだが、その目線が次第に環境へと向かううちに意味合いを変えてゆく。
オラファーの作品は常に見る側に問いかけようとする。そして昨今の大作では環境の変化を問う中で、氷河で溶けつつある氷をロンドンに移動したり、ニューヨークに巨大な人工の滝などを流し、手遅れかもしれない環境破壊に挑戦する。
この展示の一貫で「リトルサン」というソーラー電球がある。これは先進国のファンに高く売りつけて、電気の通わない後進国の家庭に廉価で供給している。「ニューヨーク・シティ・ウォーターフォールズ」にも言えることだが、彼の作品には経済的なバランスを意識していることが伝わる。高い理想を掲げても市場がそれを理解しなければアートは存在しない。これらの活動が、彼の”単なる作品”ではなく、その先の環境をマーケットが意識するべきことを暗示していると思う。それはCSRという単一で単調なものでもなく、大勢の人々を巻き込む力を備えている。
資本主義が終わろうとしているこの社会の、ほんのわずかな小さな光を間近で体験できたことに感謝する。素晴らしい作品群である。
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