Cosmo-Eggs 宇宙の卵
ヴェネチア・ビエンナーレの帰国記念で再現された『宇宙の卵』
作者は一人ではなく、作曲家や人類学者や建築家が知力と体力を結集させた素晴らしい作品。驚くべき作品。
中央に空気の入ったクッションがあり、そこから透明のホースを通じて流れ出た空気はリコーダーに送られ、そのリコーダーはコンピューターで制御されアルゴリズムにより音を選別する。ゾンビ音楽が奏でる。その周囲には津波石の映像が延々と流れる。モノクロの映像はリアル。空間は音と映像とそこを通り過ぎる人々の感嘆の息吹。動きのない世界に命が宿り空気を変化させてゆく。光は音に吸い込まれ人々を不思議な空間へといざなう。
そうだ、もうあれから9年が過ぎだ。ツナミの恐怖はここにない。しかし確実にあの津波で流れ出た大きな岩が目の前にある。映像の向こうでは農作業が行われ、子どもたちは記念写真を撮っている。震災を平和の祈りに結びつける。強引に。
人はだれも忘れてゆく。忘れることの素晴らしさと忘れてはならない何かを心に刻む。人知を超えた作品。
なぜか宮古島の海が蘇った。東平安名崎の向こうの海岸にも似たような岩が並び、満潮と引き潮に合わせてエメラルドの海が岩を演出する。ツナミは演出ではない。人の命を奪い家族を悲しみに貶める残酷な自然の猛威。それを受け入れる人々。
『宇宙の卵』
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