ムーミンに思う希望格差と総選挙

 隣国の抗日姿勢の源は?と聞かれれば、それは教育に尽きる。朴正煕が教科書に抗日を書けば、国民はいずれ全員抗日になる。
 日本はどうかというと、バブルからプラザ合意(円高)を経てデフレが広がり、格差は広がる一方だ。貧しき人々は一生豊かになる希望がない社会。山田昌弘教授が15年前から言われている「希望格差社会」を受け入れている若者は、現状に満足しつつ将来不安を抱えている。しかしそれに抗うつもりはないらしい。このような若者に至らしめたのも日本の教育である。
 我々が大学に通っていた頃は、まだ学生運動の名残りがあった。弁当目当てでデモにも参加した。しかし今はそんな時代は遠い昔。影も形もない。
 そして近づく総選挙。そもそも選挙に行く人は高齢者だけだ。若者は選挙など必要としていない。この世界で最も貧しくなろうという国の現状を静かに受け入れているから、選挙に行く必要などないのである。こうした若者に至らしめた日本の教育。
 北欧の国は、世界大戦などで板挟みになりながらも、ある意味で資本主義を肯定しながら、社会主義政策に近い政治を行ってきた。デンマークやノルウェー、そしてフィンランドなどもそれにあたるのではないか。
 ムーミンの国からやってきた不思議な言い伝えは、我々を正気にさせてくれないだろうか?「モダンウーマン」よ。



 以下、日経より。


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春秋 2019/7/6付


 今から15年ほど前のこと、フィンランド最北端ラップランド地方の村で少女が父親に尋ねた。「ねえパパ、男の人も大統領や知事になれるの?」。彼女が暮らしていた行政区の知事はハンネレ・ポッカさん、国の大統領はタルヤ・ハロネンさん、ともに女性だったのだ。

 東京・上野の国立西洋美術館で始まった美術展開幕時のあいさつでペッカ・オルパナ大使が披露したエピソードである。ポッカさんは今は環境省の事務次官を務め、ハロネンさんは12年の在職中、国民に「ムーミン・ママ」と慕われた。くだんの少女は24歳になり、先ごろ母国の緑の党で2人の女性副党首の1人になった。

 上野で開催中の「モダン・ウーマン」展は、19世紀以降のフィンランドの近代美術を率いた女性アーティストを紹介する。列強にはさまれた小国は、芸術・文化で国を強くしようと男女が平等に入学できる美術学校を創り、女性のパイオニアを次々に送り出したのだという。同時代の芸術の都パリでもありえなかった話だ。

 4日に公示された参院選では立候補者の女性比率が戦後最高の28%に達した。とはいえ男女が平等な政治参画の実現とはまだまだ言いがたい。どんな世界であっても、道をきりひらくロールモデルが必要だろう。日本の少年少女が誇ることができる「ムーミン・ママ」の一日も早い登場を期待して、一票を投じたいと思う。



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